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静岡県島田市「蓬莱橋897.4(やくなし)茶屋」設計・デザイン・商品企画ほか
世界最長の木造歩道橋・蓬莱橋のたもとに2018年3月20日(火)オープンしたのが「蓬莱橋897.4(やくなし)茶屋」(蓬莱橋周辺整備工事)
トコナツでは建築設計・空間デザインを大河原建設株式会社と共に実施。
蓬莱橋周辺の整備は、国の規制緩和により河川敷を営利目的で使用できるようになったため、島田市が2年前から地元住民らと大井川ミズベリング協議会を設立して検討してきたもの。
「蓬莱橋897.4(やくなし)茶屋」は島田市が施設の整備と維持管理を行い、島田市観光協会が運営。
施設内では「島田市緑茶化計画」コンセプトティーを始めとする緑茶の提供と販売や、島田市が認定する「島田の逸品」などを販売。
なお茶屋の名称は蓬莱橋の長さ(897.4m)にちなんだもので、名称やロゴデザインなども大井川ミズベリング協議会や蓬莱橋周辺で活動してきた市民の方々との協議の元、トコナツ歩兵団にて行った。
まず全体のデザインを行うにあたり、過去を再現するだけではなく、蓬莱橋周辺地域の江戸時代から現代に至るまでの時間の流れを意識。
建築設計は江戸時代に栄えた蓬莱橋近くの「島田宿大井川川越遺跡」建築群の流れを意識して木造平屋建てとした。
内部はレイアウト変更を可能にするため移動式什器やカウンターを設置。移動式什器は腰掛けにも利用できる1畳の畳敷き。その上にオリジナルの茶箱を積み上げて棚を作り商品を展示。移動式カウンターは昭和期を意識した茶畑モチーフのタイル張りとし、そこからイートインやテイクアウトの緑茶を提供する。
そのほか江戸幕府14代将軍・徳川家光による大井川の川越しを描いた3連の錦絵「頼朝公大井川行列図」(文久3(1863)年 歌川 芳艶 / 島田市博物館 蔵)の大型パネルや、明治期を意識したステンドグラス風の丸窓、黒板なども設置。建物奥には階段を設け、蓬莱橋と大井川を俯瞰して眺めることができる。
ロゴ・サインなどは、蓬莱橋が架けられた明治期から大正期の流れを汲むデザインとしつつ、トコナツ歩兵団にてプロデュース中の「島田市緑茶化計画」の流れを汲んだデザインとした。
緑茶は「島田市緑茶化計画」にて2017年3月に実施した期間限定アンテナショップ「SHIMADA GREEN Ci-TEA JAPAN at 渋谷ロフト」での試飲テスト、2017年8月に実施した「緑茶カフェ at 駿河湾沼津SA」での販売テストを踏まえて、テイクアウトのHOTとCOLDを、イートインでは今月の緑茶と今月の和菓子を販売。その他に蓬莱橋ライトアップも行われている。いずれも大井川ミズベリング協議会や蓬莱橋周辺で活動してきた市民の方々のご協力の元、進めている。
【「蓬莱橋897.4(やくなし)茶屋」概要】
所在地:静岡県島田市宝来町6344番地の5地先
概 要:木造/地上1階建て
敷地面積:2002.28平米
延床面積:141.74平米
建築面積:155.68平米
営業開始:2018年3月20日
トコナツ歩兵団 担当)
プロデューサー:渡部 祐介
プロデューサー補:佐藤 博喜
建築設計:浅見 敢也(アザミカツヤ)
空間デザイン:フルシタ ケンジ
CIデザイン:前川ゆういち&前川あきこ
イラスト:ツカノコウ
【蓬莱橋】
全長897.4m、通行幅2.4mの世界一長い木造歩道橋として1997(平成9)年にギネス世界記録に認定されており、橋の長さのゴロ合わせとして”やくなし”ということで有名な観光名所。
1869(明治2)年、最後の将軍・徳川慶喜を護衛してきた幕臣たちにより大井川右岸・初倉地区の牧之原の開拓・お茶作りが始まったことで、島田宿の開墾人総代達の願いにより1879(明治12)年蓬莱橋が完成。1965(昭和40)年にはコンクリートの橋脚に変え、今日の姿になっている。